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2019/05/14

ブラジル出張報告①:ボルソナロ政権の経済改革の行方

  • レッグ・メイソン・アセット・マネジメントはブラジルでの現地調査を実施。ボルソナロ政権の経済改革の行方を探る。
  • 過去5年間のブラジルは政治的混乱が続くも、左派政権の退陣や、経済改革の進展、政界浄化の面で前向きな兆し。
  • ボルソナロ政権は年金改革を政策の最優先課題に掲げる。現地では年金改革審議への楽観的見方が多く聞かれる。
  • 市場関係者は早ければ19年8-9月の年金改革の成立を見込む。年金改革の最大のハードルは下院本会議の投票。
  • 政権は民間人材を活用して民営化政策の推進も計画。議会承認が不要な民営化は迅速な改革の実行が可能。
  • 民営化は資本市場の発展にも恩恵。5年間で3,000~5,000億レアルの国営企業の民営化・資産売却が見込まれる。

ボルソナロ政権の誕生でブラジルはどう変わるか

レッグ・メイソン・アセット・マネジメント(以下、当社)では、2019年3月下旬にブラジルでの現地調査を行ってきました。今年のブラジル出張の主な目的は、ボルソナロ政権の誕生によって今後のブラジルの政治、経済、金融市場がどう変わるのかを確かめることにありました。

政府機関が集中する首都ブラジリアでは、主な政策当局者や議会関係者に対して、ボルソナロ政権が進める経済改革の方針についてヒアリング調査を行いました。また、最大都市サンパウロでは、政治アナリストや市場関係者、大手格付会社、メディア関係者などと面談し、外部から見たボルソナロ政権への評価やブラジルの経済・金融市場の展望について意見交換をしてきました。

ボルソナロ政権の経済改革への注目高まる

過去5年間のブラジルの市場環境を変遷を振り返ると、ルセフ大統領の弾劾問題や有力政治家の汚職疑惑など、政治的な混乱が経済成長の妨げとなってきました(図1)。

一方、この間にも、①ルセフ大統領罷免を契機に約13年間続いた左派政権が退陣したことや、②その後のテメル政権が経済改革の面で一定の成果(歳出上限法、労働市場改革、民営化推進)を挙げたこと、③主要政治家への汚職捜査や2018年10月の選挙を通じて政界の浄化が進んだことなど、前向きな変化の兆しはみられました。

今年1月に発足したボルソナロ政権は、元投資銀行家のパウロ・ゲデス経済相を中心に、市場経済を重視したリベラルな経済政策を志向しています。テメル政権のもとで築かれた改革の土台(①~③)から、ボルソナロ政権が一段の経済改革を進め、ブラジル経済の本格的回復を主導するかに市場の注目が集まっています。

ボルソナロ政権の最優先課題は年金改革の承認

ボルソナロ政権は多くの経済改革を提唱する中でも、年金改革の議会承認を最優先課題としています。

ボルソナロ政権は、民間労働者や公務員などを含む包括的な年金改革法案を議会に提出し、10年間で1兆2,365億レアル(約35兆円)の財政改善効果を見込んでいます(図2)。政府にとっては国民への過大な年金支出が近年の財政赤字の主因となっており、年金改革は機動的な財政運営を取り戻すための喫緊の課題と言えます。

 

現地では年金改革審議への楽観的な見方が多い

当社が現地で取材したボルソナロ政権の政策当局者や議会関係者、外部の政治アナリストおよび市場関係者の間では、今後の議会審議の過程では一定の譲歩は不可欠とみられるものの、総じて年金改革の議会承認には楽観的な見方が多く聞かれました。現地市場関係者の間では、約70~80%の確率で年金改革は年内に成立する公算が大きいとみられている模様です。

市場関係者は早ければ8-9月の成立を見込む

年金改革の議会審議の現状を確認すると、ボルソナロ政権はすでに2019年2月20日に議会に対して年金改革法案を提出しており、議会審議の第一段階に当たる下院の憲法・司法委員会(CCJ)は4月23日に年金改革法案への承認を下しました。現在、年金改革法案は下院の特別委員会で審議される段階にあります(図3)。

現地市場関係者によれば、年金改革法案の成立時期(上院本会議での承認)は早ければ2019年8-9月頃、保守的な想定では11月頃と見込まれています。

年金改革の最大のハードルは下院本会議の投票

今後の議会審議において、特にハードルが高いとみられているのが下院本会議の承認手続きです。下院議会での年金改革法案の承認には、513名の議員のうち308名(60%)以上の賛成を得る必要があります(図4)。

もっとも、年金改革に反対を表明している野党陣営は下院議会のうち140名前後の勢力に過ぎないため、野党の存在は年金改革審議の大きな障害にはならないとみられています。今後の議会交渉を通じて、ボルソナロ政権が中立派の下院議員(約150名強)との協力関係を築けるかが年金改革法案承認のカギとなりそうです。

政権は民間人材を活用して民営化政策を推進

一方、ボルソナロ政権が年金改革と同時並行的に進めようとしているのが民営化政策です。ボルソナロ政権は国有企業や国有資産を民間投資家へ売却することを通じて、左派政権期に肥大化した政府部門の規模を縮小し、民間セクターの活力を取り戻すことを目指しています。

ボルソナロ政権では、民営化政策を推進するため、経済省の傘下に民営化局を新設し、成功した企業経営者や元投資銀行家などの民間人材を積極的に登用しています(図5)。政府は大手国営企業の総裁ポストにも改革志向の人材を国内外から集め、国営企業の資産売却や経営改革をトップダウンで進める考えです。

民営化政策は迅速な改革の実行が可能

図6に示す通り、ボルソナロ政権の民営化政策は4つの柱で構成されています。民営化政策は基本的に議会承認の手続きが不要であることから、政権が主導となり迅速な改革実行が可能とみられています。

インフラ運営権(コンセッション)入札に関しては、ボルソナロ政権は5月8日に港湾、空港、高速道路の運営権入札に関する計画を公表しました(図7)。入札の実施は主に2020年に予定されており、落札企業は総額約1,333億レアル(約3.7兆円)の大規模な投資を行う計画です。

大規模な民営化は資本市場の発展にも恩恵

一方、今後5年間に見込まれる国営企業の民営化および資産売却の規模は、現地市場関係者によれば、3,000~5,000億レアル(約8~14兆円、GDP比4~7%)にのぼるとみられています。民営化政策の推進により資本市場の活性化が期待され、海外投資家にとってのブラジル資本市場での投資機会も拡大しそうです。

年金改革は広範な経済改革のスタートライン

ボルソナロ政権は今年の最優先課題である年金改革の議会承認を達成した後には、ブラジル・コストの解消のため税制改革(複雑な税制簡素化)や輸入関税引き下げ(対外開放政策)に取り組むと見込まれます(次頁図8)。

次の大統領選挙は2022年であることから、ボルソナロ政権には様々な経済改革を進める余力も多く残されています。ボルソナロ政権にとって年金改革は、広範な経済改革を進めるためのスタートラインと考えることができそうです。

(※)本レター中の為替換算レート:1レアル=28円

●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。
●当資料は、当社が各種データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。
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